あまりどんな内容なのかとか調べずに、パパパーっと映画とか観に行ったりします。
正直あまり気持ちの良い映画ではなくて、もう1回見たい!とは思わないですが、大変ブラックな不思議な映画でした。最初の場面から「ちょっと違ったかも」と思って。私もブラックではあるけども、もひとつ違ったブラックで居心地悪い感じ。でも、淡々とした中に狂気が淡々と刺さるような流れ具合と出てくる人達がみんなクセがあって、気になる。
1990年代半ばの一見平和そうな田舎町のお話。そこに住む人々の生活があれあれあれとずれていく、というよりは多分もともとちょっとずつみんな狂ってたような。中で西尾まりさん演ずる主人公のお姉さん役。彼女が出てくるとこだけちょっとホッとしました。ちゃんと現実感持ってるまともな人が、この人しかいなかったような気がして。
主人公である新井浩文君の警官も、まともなように見えて危なかったし。なんだかどうしようもないような双子の兄、浮気して家出中のダメ父、それを放ってるらしい母。「モテる」と言われたからと20万で金の延べ棒を買う友達。誰の子か分からない赤ちゃんを産む女の子。彼女でお金をとる彼女の母親。その母親は主人公のダメ父の愛人で、それでそれで(ネタバレしそう)…。ぐるンぐるン。めちゃくちゃ。
ずれながら狂いながらもそれを包み込んでバランスしていたように思われる町の人間関係が崩れるきっかけとなった、木村祐一と川越美和カップルはもう見るからに訳ありとしか言いようがなくて。川越美和ちゃん、昔、お下げ髪でアイドルだったような気がするんだけど。でも、とても彼女が可愛かったのが嬉しかったです。その彼女を主人公の双子の兄がひき逃げするところから話は始まり、いろーいろあって、結局最後、白黒な結論とかどうなったとかこうなったとか赤ちゃんの父親は誰だったとか、何がスッキリすることもなく、すべてを飲み込んで町も人間もそのまま流れていくのかなという。ある意味、とてもコワイ結末。
きっと、一般受けはしないのでしょうね。自分でも引き気味に観てたのが分かるし。乱射というほどの派手なシーンもなく、と言って、人の首(生首みたいなの)とか出てきて、しかもその出てき方が「ヒッ!」って言いそうになる感じなわりに、不思議と淡々とした映画だったのでした。訳ありカップルもそんなに悪い人には思えないところが。
でもやっぱり、一般受けはしなさそう。
「ゆれる」に続くある意味「兄弟」もの。全然違うけど。どちらにしてもやはり「兄」は「兄」で「弟」は「弟」で。父は父、子は子?
お兄さん役の山中崇とダメ父の三浦友和が、もう本当にどうしようもなくて、うまかったです(と思う)。チラシに「人間て、悲しくて、可笑しくて、情けなくて、いとおしい。」って書いてあったけど、あんまりいとおしくはなかったかも。どうしようもなさすぎでした(笑)
新井浩文君はやっぱり「天国の本屋」の時が一番顔が好きなんだけど、あの佇まいというかなんというか、不思議と好き。でも、映画観た後、友達と待ち合わせてご飯食べて帰ったのですが、映画は誘わなくて良かったな〜とかもちょっと思ったりしました(笑)
ひかれそう。